羽曳野市医師会 医道の高揚、医学・医術の発展、地域医療・公衆衛生の向上を目指し、さまざまな医療活動を行っています。
 
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便潜血陽性(+)だったら・・・大腸カメラを受けましょう!

 便潜血が陽性と言うことは、大腸ガンから出血して、それを検出している可能性があります。ただ、大腸癌は早期発見すれば、恐れる病気ではありません。
 残念なことに、便潜血検査を受けられる方は、令和4年度は羽曳野市で7.9%、便潜血陽性と検診で異常を言われても大腸カメラを受けられる方は、地域によって様々ですが50%も満たないと言われています。
 だれでも初めての検査は、不安はあるかと思います。自分は大丈夫と思いがちですが、もし、そのままにして進行癌になってしまった場合、そこにかかる精神的な負担、身体的な負担、金銭的な負担は、検査の不安よりも大きなものとなります。
 もっと早く検査していれば・・・と後悔のないようにこれを機に早めの検査を考えてみてください。

医療法人好友会 ひらたクリニック
平田好正


新年あけましておめでとうございます

 コロナウイルス感染症が流行して丸4 年が経過しました。 昨年は感染症の位置づけが2 類相当から5類へと変更され、『ウィズコロナ』・『ポストコロナ』へと移行しております。 感染対策が緩和され、今年は御家族や御親戚、友人たちとの楽しいお正月を過ごされているのではないでしょうか。
 さて、感染者数は減少し、最近は恐れる必要のない病気という印象になりましたが、高齢者の重症化や致死率は高いままです。コロナ後遺症で悩む人も増えており、感染者のうち女性10%、男性5%以上が後遺症を経験するといわれております。後遺症の中でもブレインフォグという脳神経症状(集中力、注意力、思考力の低下)は治癒しにくく、またコロナに感染した人が認知症になるリスクも2 倍以上といわれております。
 コロナウイルスの他にしばらく鳴りを潜めていた季節性インフルエンザも昨冬より流行が見られ、年末にかけて猛威を振るっております。
 昨年は猛暑が続いた関係で免疫力が例年より低下しており、適度な運動、充分な睡眠、栄養バランスのとれた食生活など感染対策に加えて体調管理をお願いいたします。
 コロナにもインフルエンザにも感染したくはないですね。

羽曳野市医師会
会長 加藤治人


気象病について

 季節の変わり目に差し掛かりますが、皆様変わり なくお過ごしでしょうか。
 なんとなく調子が悪いなと感じることはありませんか。このように季節の変わり目に体調を崩される方が多いように感じます。外界の環境の変化(気温や気圧・湿度など)によって引き起こされる症状のことを総じて“気象病” といいます。暑さ寒さのほかに、気圧が下がる(雨降りや台風が近づくなど)と頭痛が起こるなども当てはまります。これは人体には外界の変化に対して、恒常性を保とうとする仕組み(ホメオスタシス)があり、神経やホルモンが総動員されて頑張っているからです。
 季節の変化によって体調が悪くなるような方に対しては、漢方薬の内服などで症状の改善がみられることがあります。一般的な和漢診療では診察(腹診や舌診等)によって個々のその時点での体調の変化をとらえ個々に合った処方を行うと改善することが多いようです。
 気象病かなと感じられる方は、まずかかりつけ医にご相談ください。

ふじもと医院
藤本雅史


肺がんについて

 今回は肺がんについて、ご説明させていただきます。 肺がんは肺の中に出来る悪性腫瘍(癌)で、近年増加傾向にあります。男性は女性の2倍、特に60歳以降での罹患率が高いです。癌種別の死亡率でみても、男性の死因の第1位、女性の死因の2位(ちなみに1位は大腸がん)となっており、要注意の癌です。
 肺がんの危険因子は喫煙です。禁煙により、肺がんリスクの低下と治療効果の向上が見られるため、まずは禁煙を心がけてください。また、高齢化に伴い、近年、非喫煙者の肺がんも増加傾向です。遺伝子変異など様々な要因で肺がんは発生するので、定期的な肺がん検診を受けていただく事が大切と考えます。
 肺がんの治療は進行度によりますが、手術、薬物療法、放射線治療などを組み合わせます。特に近年は薬物療法(抗がん剤や、がん免疫療法)の進歩に伴い、肺がん患者さん、特に進行期の治療成績、5年生存率が向上しています。
 しかしながら、やはり病期が早いほど、生存率も高いので、禁煙継続と毎年の肺がん検診の受診を継続する事が大切だと考えます。

医療法人恒尋会 はやま内科クリニック
葉山善友


こどもの予防接種の同時接種について

 こどもの定期予防接種が多岐にわたる昨今、同時に接種することに対する不安があるかと思います。同時接種について現在分かっていることとして以下のことがあげられています。

 1. 複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はない。
 2. 複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはない。
 3. 同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない。

 要するに安全性には問題はないということが示されています。何度も病院に足を運んでもらう負担を軽減するためというのが一つの目的ですが、それは医療機関で感染症をもらうリスクの低減にもつながります。特に新型コロナウイルス感染症を含めた感染症が毎年流行するため、できるだけ受診回数は減らしたいですよね。詳しくはかかりつけ医に相談してみてください。

しみずこどもの丘クリニック
清水宏明


ミトコンドリアとエネルギー

 人は酸素で糖を分解し水素を取り出し濃縮します。出来た水素の濃度勾配と駆動力を使ってATP( アデノシン三リン酸) を合成します。ATP が分解するとエネルギーが生じます。このエネルギーで生物は生きています。ATP の合成は細胞内に約数千個あるミトコンドリアが行います。エネルギーは筋収縮、神経伝達、消化吸収、ホルモンの分泌、ミトコンドリアDNA の修復等多くの用途に使われますが、貯めることは出来ません。ミトコンドリアに作り続けてもらうしかありません。ATP の合成には、食事と運動、活性酸素除去が必要です。食事では脳と赤血球の活動に不可欠な糖の他、脂質・タンパク質、ビタミンB1、カルニチン、コエンザイムQ10等の成分が必要です。これらの成分は肉と魚から摂れます。有酸素運動で筋量とミトコンドリアが増えます。睡眠中は消費エネルギーが少なく、熟睡によってミトコンドリアを休ませることが出来ます。エネルギーを無駄にしない生活習慣が大切です。

羽曳野市医師会
藤野久武


コロナ後遺症

 新型コロナウイルス感染症が発症して3 年が経とうとしておりますが、令和4 年もコロナ感染症に翻弄された1 年でした。9 月には感染者数が2000 万人を超えるなど、これまでに多くの方が感染しました。ようやく第7 波の感染が落ち着き、感染者数が減少してきた一方で、コロナ後遺症と呼ばれる症状に悩む方がみられるようになりました。一般的な症状は疲労、倦怠感、頭痛、思考力や記憶力の障害、咳の持続や息切れ、味覚嗅覚障害、微熱、抑うつ、脱毛などがあります。コロナ後遺症については不明なことが多く、コロナ感染が軽症であった人でも起こりますし、どれだけの期間続くかも不明です。診断も困難で、今のところ治療は対症療法しかありません。長期間にわたることにより、日常生活、仕事、学業に支障が出てくることもあります。悩まず、かかりつけ医に相談することを勧めますが、後 遺症を避ける一番の方法はコロナウイルスに感染しないことです。また、コロナ後遺症はワクチン接種を受けた方のほうが少ないとされております。『with コロナ』となる中で、感染に対する考え方も変化していくと思いますが、来年にはコロナを克服し、元の生活に戻れるようにあとひと頑張りいたしましょう。

羽曳野市医師会
会長 加藤治人


尿検査について

 健康診断の検査項目にある尿検査の歴史は古く、古代ギリシア時代にはヒポクラテスが診療に生かしていたといわれています。尿検査は、非侵襲的でありながら貴重な情報を得られるので、繰り返し行うことができる有用な検査です。血尿、蛋白尿、尿糖の検査異常が指摘されると、腎・尿路のトラブルを反映していることが多いですが、全身の異常・病態の反映したサインであることもあります。問診での腎疾患、尿路結石、糖尿病、自己免疫疾患等の 既往歴の情報で、原因の手がかりを得られることがあります。また、一時的な異常がみられる場合もあり、例えば運動後や感冒罹患時の採尿でたまたま尿検査にひっかかることがあります。この場合は持続的な尿検査異常が検出されるかどうかが大事なので、再検査を行っていきます。再検査は、可能であれば、早朝第一尿での再検査で行うようにします。かかりつけ医に相談してください。

倉岡医院
倉岡哲郎


高齢者の便秘―家庭や施設で出来る対策について

 加齢によって生じる食事の量や食物繊維の摂取量の低下、運動量の低下による筋肉量の減少、体の感覚の鈍化などのため便秘に悩む高齢者の方は少なくないと思われます。そういう方々が日常生活の場で実践できる改善策についてふれてみたいと思います。
 まずは排便時の姿勢ですが、「考える人」の像をイメージしてみてください。足元に踏み台をおいて足の 位置を高くして前かがみの姿勢になるとより便が出やすくなります。腸のマッサージもある程度効果があるといわれています。おへそを起点に「の」の字をかくようなイメージでお腹をさするようにします。食生活の面では、食物繊維、乳酸菌、ビフィズス菌などが不足しないよう意識しましょう。仰向けになり両膝を抱えて10 秒ほど深呼吸を行うガス抜き体操や、同じく仰向けになり両膝を立て左右に倒すひねり体操なども有用です。
 便秘にもいろいろな原因や経過がありますので、症状が改善しないようであればかかりつけ医の先生に遠慮なく相談しましょう。

土屋医院
土屋英人


生活習慣病対策としての運動療法

 運動療法というと、脳卒中後の身体の麻痺に対する ものや、骨折や腰痛などの整形外科関連のものが 主流でしたが、最近では糖尿病や高血圧、脂質異常 症などの生活習慣病の改善や予防のための運動療法 も積極的に行われるようになりました。
 運動療法は有酸素運動、無酸素運動、筋力トレー ニング、ストレッチングなどに分類されます。具体的 にはウォーキングやジョギング、水中ウォーキング、 ラジオ体操などからエアロビクス、サイクリング、 ハイキング、腕立て伏せやスクワット、ダンベルや マシンを用いたトレーニング、短距離走、水泳など 各種あり、年齢や病気の有無により個々の人にあった 内容で無理せず継続することが重要です。
 運動を行っている人は、虚血性疾患、糖尿病、高 血圧、肥満、骨粗鬆症、大腸がんなどにかかる割合も 低くなるといわれています。身近なかかりつけ医の 先生と相談して、運動する習慣を身につけましょう。

土屋医院
土屋英人


睡眠は健康のもと

 睡眠は脳波で記録されて、4つの深さに分類されます。入眠から約60分で最も深い眠りになり、約30分持続します。これをノンレム睡眠といいます。無意識状態のまま、その後眠りは急に浅くなり急速眼球運動を伴う眠りが約10分間続きます。これをレム睡眠といいます。ノンレム睡眠とレム睡眠が1周期となり、一晩に数周繰り返されレム睡眠時に目が覚めます。深い睡眠中(ノンレム睡眠)は、大脳表層の神経活動が十分に低下しますが、レム睡眠時には、首の後ろ(脳幹部)にある自律神経(アドレナリン分泌神経)の活動が亢進し、血圧・呼吸・脈拍が乱れます。更に脳の視覚領域の活性化を伴うので夢を見ることが多いと言われます。
「寝る子は育つ」と言われるように、ノンレム睡眠時には多量の成長ホルモンが分泌されます。脂肪の分解や傷ついた遺伝子(DNA)の修復、記憶の整理等も睡眠の効用と言われます。十分な睡眠時間(平均7時間)を確保し、脳を休ませることが健康上大切です。

羽曳野市医師会
藤野久武


免疫力を高める意識を持ちましょう。

 免疫とは身体を守る自己防衛システムとも言われます。細菌、ウイルス、癌細胞などあらゆる外敵から身を守る働きがあります。この働きには自律神経が密接に関係しており、交感神経と副交感神経の2種類のバランスが崩れてしまうと免疫力が下がってしまいます。
新型コロナウイルスに対抗する免疫系は、副交感神経が優位になる時(夜間睡眠時)に白血球のリンパ球が増加して免疫力が上がります。毎日ゆっくり湯船につかり、暖かくしてしっかり睡眠をとり、ウイルスを退治する免疫力を維持しましょう。
新型コロナに感染した際、若くて基礎疾患の無い人も重症化するケースがあります。交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、免疫力が低下している人は要注意です。

医療法人厚和会 ぶどうの家診療所
大畑和弘


コロナフレイル

 明けましておめでとうございます。 新型コロナウイルス感染症が流行して2回目の新年を迎えました。 昨年は旅行や初詣にも行けず、親戚や友人とも会えない、家族だけのお正月を過ごされた方が多いと思います。今年のお正月はいかがでしょうか。
さて、コロナ禍による自粛生活の長期化により『コロナフレイル』が問題となっています。フレイルは加齢により心身が衰え、介護が必要な手前の状態ですが、コロナ禍により運動不足となり足腰のだるさや痛みが生じて歩き難くなる。また、食生活の乱れから筋力低下や持病が悪化する。そして、人とのつながりの縮小から軽度の認知障害や抑うつ状態を生じる。といった状態からフレイルに陥る高齢者の増加が懸念されています。
コロナフレイル対策としては、運動と栄養が重要です。運動は自宅で簡単にできるロコトレ(ロコモーショントレーニング)が良いと思います。食事は、タンパク質の摂取が重要で、必須アミノ酸やビタミンB6を含んだバランスの良い食事が必要です。また、安全で楽しく人と交流できる機会を作っていく必要もあります。今年は健康寿命の延伸が後退しないように、コロナフレイルを意識した新しい取り組みが必要な年になると思います。

羽曳野市医師会
会長 調子和則


上手な休養の取り方

 人は疲れがたまると、注意力や思考能力が低下したり、肩こりや頭痛などの症状が現れたりすることもあります。疲れがたまっても、しっかりと休養をとるとまた回復し、再び活動ができるようになるのですが、休養のとり方が自分に合っていないと、休んでも回復しないという悪循環に陥ってしまいます。
 休養にはいわゆる「何にもしない」消極的休養と、「軽い活動をする」ことで疲労回復を促す積極的休養があり、これらを上手く取り入れることが重要です。前者には自分なりの質の良い睡眠の確保や、お気に入りの飲み物や香りを楽しんでゆっくりするなどがあります。後者にはウオーキングやジョギングなどの軽い運動や1日3食のバランスの良い食事、趣味やスポーツ、旅行など普段の仕事や活動から離れた気分転換などが挙げられます。
 人は活動すると必ずエネルギーを消耗するようにできています。適度に休養をとって楽しくて実りある人生を送りたいものです。

土屋医院
土屋英人


夏バテ対策について

 高温多湿となる日本の夏は、体調を崩しがちです。 高い湿度のため汗が気化しにくくなり体温調節機能がうまく働かず、体力の低下や食思不振が見られるようになります。そこで、睡眠、運動の習慣、食事の3つの観点から夏バテ対策について考えてみましょう。
 良質な睡眠のために、熱帯夜の時などは冷房や扇風機を上手く使用しましょう。冷やしすぎは起床時のだるさの原因になるので、冷房の設定温度は28℃を目安にしましょう。
 人の体は、汗をかくことで体内の熱を逃がして体温調節をしています。適度な運動で汗をかくことは、暑さと冷房で狂いがちな体温調節機能の改善につながります。気温の高い日中を避けて、ウォーキングなどを定期的に行いましょう。
 暑くなると食欲がおちてしまいます。しょうがや大葉などの香味野菜、カレーなどの香辛料を使った料理は食欲増進作用があり効果的です。暑さのために冷たい食べ物・飲み物を選びがちですが、胃腸を弱めてしまうこともあるため、温かい食べ物・飲み物を意識してとるようにしましょう。
 自分にあった夏バテ解消法を取り入れて、暑さに負けずに過ごしたいものです。

土屋医院
土屋英人


終末期と延命治療について

 終末期の医療やケアの希望を話し合うことは、人生 の最終段階を満ち足りた気持ちで過ごすためには必要 不可欠なプロセスになってきます。最近注目を集めてい るのが、自分の意志を家族や医療従事者とあらかじめ 共有する、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼 ばれる考え方です。
 晩年のACP は緩和ケアの現場で行われます。最近で は病院への入院や施設入所の際に、「延命治療に関する意 思確認書」や「終末期医療の事前指示書」といった書類 への記入を求められることも増えています。内容としては、
①最期を迎えたい場所:自宅、介護施設、病院など
②蘇生について:心臓や呼吸が停止した時に心肺蘇生をするか どうかなど
③食事を口から食べられなくなった時:管を入れたり胃ろうを 造るかどうかなど
④注射や輸血などの治療の可否
⑤その他の要望
などで、終末期に際し自分に代わり意志決定をする人を 指名しておきます。状況に応じて内容が変化することも 十分考えられますので、その都度、柔軟に話し合いを することが大切です。

土屋医院
土屋英人


「健康寿命」を延ばすために

 いくら長生きできても、寝たきりになったり、介護が必要になったりすると、生活の質が大きく低下してしまいます。そうした事態を防ぐためには、「健康寿命」を延ばすことが大切です。健康寿命とは、「健康上の問題がなく日常生活を自立して送れる期間」のことですが、平成25年時点での平均寿命と健康寿命の差は男性が約9年、女性が約12年となっており、亡くなるまでの10年前後を寝たきりや、不自由な体で過ごす方が少なくありません。  健康寿命を延ばすための方法として、「適度な運動」「適切な食生活」「禁煙」「健診・検診の受診」「ストレスをためない」といったことが挙げられます。10分程度のウォーキングを毎日やる、野菜を1日350g食べる、健康診断や人間ドック・がん検診・歯科検診を定期的に受ける、快適な睡眠の確保、親しい人との交流、笑う、趣味を持つといったことを日頃から意識してみてはいかがでしょうか。

土屋医院
土屋英人


「アフターコロナ」

 今年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、我々の生活が一変しました。
人の流れにより感染の拡大縮小が左右され、治療法のない新興感染症対応の困難さを経験しました。4 月の緊急事態宣言中は窮屈な生活を強いられ、様々な社会活動が制限されました。10 月には世界で100 万人を超える死亡者がでました。日本を含めたアジアでは感染者数は減少傾向ですが、世界では今尚多くの新規感染者が報告されています。現在、世界中でワクチンの治験が行われ、新しい治療薬も急ピッチで開発されて 実用化が近いものもあります。また、既存の薬を使った多くの有効な治療方法も報告されています。しかし、今後も重要なことは、3密を避け、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクをして、手洗いをしっかりする。このような一人ひとりの感染対策や生活様式の変更が大切であることは変わりないと思います。日本の感染者が少ないのは、多くの日本人が新しい生活様式を実践できているからだと思います。来年には新しいルールを保ちつつ、以前のように生活や活動が送れることができるようになり、アフターコロナ社会の象徴として東京オリンピックが開催されることを期待しています。

羽曳野市医師会
会長 調子和則


感染症と免疫とワクチン、予防接種について

 ウイルスや細菌などの微生物が体内に入り、体内で 増加することにより発症する病気のことを感染症とい いますが、感染症にかかると体の中で抗体などが作 られ、新たに外から侵入する病原体を攻撃するしくみ ができます。このしくみを「免疫」といいます。「疫(え やみ=やまい)」から「免れる(のがれる)」というこ とですね。  種々の研究などでこの免疫を作り上げる工夫がされ るようになり、「免疫をつくる種(たね)」=「ワクチン」 が作られるようになりました。これを注射したり皮膚 につけたりして、その病気に対する免疫を造るのが、 いわゆる「予防接種」になるわけです。
 予防接種には、「個人を守る」と「社会を守る」の 2 つの役割があります。予防接種を受けるとその病 気に対する免疫がつくられ、その人の感染症の発症 あるいは重症化を予防することができます。また、多 くの人が予防接種を受けることで「集団免疫効果」が 発揮されます。

土屋医院
土屋英人


乗り物酔いについて

 乗り物に乗ると、乗り物の揺れが原因で顔面が青白くなり、気分が悪くなったり、吐いてしまうことがあり、これを乗り物酔い(動揺病)といいます。遊園地の乗り物やビデオゲームも乗り物酔いの原因になることがあります。乗り物に乗った時の発進・停止の反復、スピードの変化、前後・左右・上下・回転などの慣れない刺激が続くと脳が情報過多となり、自律神経に異常な情報が送られ、結果として生あくびや冷や汗、手足の冷感、嘔吐といった症状が出てしまいます。
 乗り物酔いの予防策として、「睡眠をしっかりとる」「空腹、満腹の状態を避ける」「なるだけ頭を動かさず、読書など下を向いての細かい作業を避ける」「事前に酔い止めを服用する」といったことが挙げられます。
 乗り物酔いを起こしてしまった時は、降りてしまうのが最も良いですが無理な場合はベルトや衣類をゆるめて腹式呼吸を行い、頭部の冷却、換気などを行いましょう。

土屋医院
土屋英人


感染症予防の三原則

世の中には様々な感染症が存在しますが、予防には三つの原則があります。
① 「感染源の排除」
感染源とはウイルス、細菌、カビといった病原性微生物のことで、人のみならず、血液や体液、嘔吐物や排泄物なども感染源となります。これらに近づかない、触らないようにし、汚物は袋に入れて廃棄しましょう。
② 「感染経路の遮断」
目に見えない病原性微生物の感染経路には食べ物や手指を介しての「接触感染」、咳やくしゃみによる「飛沫感染」、空気中に微生物が浮遊する「空気感染」などがあり、それぞれ対策は異なりますが、微生物を持ち込まない、持ちださない、広げないことが重要です。
③ 「健康・免疫の管理」
感染症を100%予防することは困難ですが、早期発見することや発症しても重症化させないことが重要です。特に高齢者、持病のある人、乳幼児などは注意が必要で、栄養、睡眠、休息を十分に取ること、ワクチン接種、日頃の体力作りなどが大切です。

江藤クリニック
江藤 智麿


かぜの予防と対処法について

 みなさんは、普段からかぜの予防のために外から帰ったら手洗いやうがいをしていると思いますが、やり方や、かける時間はどの程度意識していますか? 例えば手洗いですと石鹸を使って手のひらや指の間を中心に最低30秒程度洗うと効果的といわれています。お子さんの場合だとハッピーバースデーなどの歌を歌いながら一緒にやってあげると30秒位になります。うがいもおとなしくやるよりもできれば声を出してガラガラとやるほうが効果的です。家庭では睡眠、休養をできる限り確保して、室温の調節では暑すぎない程度の暖房、冷えすぎない程度の冷房を意識して、過ごしやすい環境を作りましょう。
 それでも体調を崩す時はやはりあると思います。市販薬を利用したり、いつも常備しているお薬があったりと、人それぞれ対処法は様々でしょうが、ちょっとした事でも気軽に相談できる「かかりつけ医」を見つけておくといいでしょう。

土屋医院
土屋英人


「ノロウイルス」について

 ノロウイルスの感染のほとんどは経口感染で、汚染された貝類などを十分に加熱せずに食べた時や調理などを介して汚染された食品を食べた時に感染し、また感染者の糞便や吐いた物を介しても感染します。ノロウイルスによる腸炎の発生は例年11月から3月頃にかけて増加する傾向があり、感染すると1~2日後に嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出現しますし、発熱を認めるときもあります。
 このウイルスに効果のある抗ウイルス薬はなく、消毒のためのアルコールや薬用石鹸でもあまり効果はありません。90℃以上で数分煮沸するか、ハイターなどの酸の使用が有効です。時に汚物が乾燥するとウイルスは空気中に浮遊し、空気感染することもあるので、適切な汚物の処理と換気を行うことが重要です。予防のために普段からの体調管理と手洗いを心がけましょう。

加藤医院
加藤 治人


『明けましておめでとうございます。』

 昨年はラグビーワールドカップが行われ、今年は東京オリンピックが開催されることで、スポーツに活気立つ年が続きます。
さて、運動やスポーツには、運動機能だけでなく、認知機能や精神機能、免疫力を向上させる効果があり、そのメカニズムも明らかになってきています。運動器疾患だけでなく、循環器、呼吸器の慢性疾患、がん、認知症等にも、その状態にあった適切な運動が行われれば心身機能の向上が得られ、病状の改善につながることが証明されています。また、運動には、お年寄りや心身に障害を持つ方が、運動やスポーツ活動に参加することにより、社会活動の向上にも繋がることが期待できます。平均寿命が延び、人生100年時代が述べられる今、健康寿命の延伸や社会活動を維持するためにも、色々な運動やスポーツを気軽に楽しめる環境が必要だと思います。オリンピックイヤーを迎えるに当たり、年齢や心身の状態にあった日頃の運動について考え、実行していく必要があると思います。

羽曳野市医師会
会長 調子和則


睡眠不足が体に及ぼす影響について

 日常の睡眠時間を切り詰めることで自由に使える時間が増え、より生産的な生活を送ることができると考える人がおられるかもしれませんが、睡眠不足は肉体的にも精神的にも体に悪影響を及ぼすことが証明されています。  実際に日々の睡眠時間を通常より数時間短縮した場合、日中の眠気が非常に強くなり、作業能率の低下、気分が沈みがちになるといった反応が見られるようになります。集中力、記憶力、思考力の低下を招き、無気力や焦りの感情が表れやすくなり、睡眠不足が借金のように積み重なる状態を「睡眠負債」と呼びますが、こうなってしまうと一晩の睡眠では十分に回復しない可能性も出てきます。さらに睡眠不足は高血圧症や糖尿病の発症リスクを高め、免疫機能に悪影響を及ぼすことが確実視されています。
 心身の疲労を回復させ、生産的な生活を送るためには十分な睡眠をとることが重要です。

土屋医院
土屋英人


心肺蘇生の歴史について

 9月はいわゆる「救急の日」がありますが、心肺蘇生の歴史をふりかえってみると、初の蘇生成功の例は旧約聖書に次のような形で記録が残っています。紀元前9世紀代のイスラエル王国の預言者エリシアが、帰宅したときに寝床で死んでいた我が子に対して自分の口を我が子の口に当てておおいかぶさると、我が子の体はしだいに暖まり、くしゃみをして目を開けた、というものです。これは現在でいうところの「呼気吹き込み法」にあたると思われ、欧米でくしゃみのあとに“God bless you”という所以ともいわれています。古代から中世では外部からの温熱、ふいごや樽を用いた人工呼吸などが行われていたようですが19世紀になると胸骨圧迫や除細動、口対口の人工呼吸法が実践されるようになり、現在の心肺蘇生の原型は1960年代に確立されたといわれています。
 市民の皆様も災害への備えと共に心肺蘇生にも興味をお持ち頂けましたら幸いです。

土屋医院
土屋英人


熱中症に気をつけましょう

 これからの季節、患者さんが増えてくる熱中症ですが、皆さんは何か対策はされておられるでしょうか。熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあります。症状としてはめまい、立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返り、気分不良などがあります。予防法としては「暑さを避ける」「こまめに水分」といったことが大切です。室内では扇風機やエアコン、遮光カーテンなどで温度を調節し、外出時は日傘や帽子を使用し、こまめに休憩をとり、のどの渇きを感じなくても塩分を適度に含んだ水分を補給しましょう。からだに熱がこもるのを避けるために、通気性のよい吸湿性・速乾性のある衣服を着用したり、保冷剤や冷たいタオルなどで体を冷やすのも効果的です。

土屋医院
土屋英人


オンライン診療について

 平成30年4月に診療報酬が改定され、「オンライン診療料」なるものが新設されました。これはモニター画面を用いた診察、いわゆる遠隔診療に相当するものです。遠隔診療は今までも通信機器を用いて離島や僻地などに限り行われていました。しかし今回の改定で、一般の医療機関においても、慢性疾患などで病状が安定している場合は、スカイプなどのインターネットを用いた診察を通常の対面診療と組み合わせて行えることになりました。診療を画面越しに行うなんてSFの近未来的な世界を想像させ少しワクワクしますが、実は医師は診察では患者の話を聞いて異常箇所を見ているだけではなく、触って嗅いで感じてと常に五感をフル活用して診察を行っています。ですから、それを考えると現時点ではオンライン診療が通常の対面診療と同じレベルで行えるようになるのはまだまだ先の話のように思われます。

医療法人慶組 おとのクリニック
音野慶仁


健康長寿日本21

 みなさん、「ロコモ」や「フレイル」をご存じですか? 健康長寿を目指すには、ロコモティブシンドローム(略称ロコモ)やフレイルを知ることが大切です。ロコモとは、骨、関節、筋肉、神経等の運動器に障害が起こり、立つ、歩くといった移動する能力が低下した状態をいいます。またフレイルは、加齢とともに予備能力が低下し、色々な病気や、精神的、社会的な要因等にも影響されて起こる心身が脆弱化した状態です。しかし、これらは可逆性で、早期に介入することで改善され、要介護状態を防ぐことができます。それには先ず、市民健診やがん検診を受け、次にロコモでないかロコチェックを受けることが大切です。その上で、自分の身体の状態や運動能力を評価することにより、早期に必要な治療を受け、また生活習慣改善や適切な運動を行い、体に合った食事を取ることで、「ロコモ」や「フレイル」を予防改善することができて、健康長寿に繋がっていきます。

羽曳野市医師会
会長 調子和則


認知症の方との接し方について

 最近患者さんが増加している病気の1つに認知症がありますが、認知症の方への接し方に苦労されているご家族や関係者の方も多いのではないでしょうか。認知症の方には、物忘れは激しいのに、自分の心に残った感情的なしこりは強く残るという特徴があります。認知症の方の問題行動に対して周囲の方々が感情を表に出した対応をしてしまうと、うるさい人、いやな人、怖い人というマイナスの感情が残ってしまい、逆に「ありがとうございます」「そうですね」というような対応をしたらポジティブな感情が残る場合が多い傾向があります。
 大切なのは認知症の方を現実の世界に対応させるのではなく、周囲の方々が認知症の方が持っている世界を理解して、その世界に合わせた対応をするということです。認知症の方々にとって穏やかな気持ちで生活することが、種々の問題行動をおさえることにつながります。

土屋医院
土屋英人


百寿者をめざそう

 百歳を超えても元気な老人は百寿者と呼ばれています。「心身共に健康で長生き」は万人の夢でしょう。血管の若さがその鍵を握っています。実は、百寿者の血管は驚く程若々しい事が分かっています。血管が若いと全身に栄養が行き渡り、病気のない活発な身体を保てます。つまり、若者の体と同じような状態を保てます。特定健診やドッグで生活習慣病のチェックがされますが、その主な目的は「動脈硬化の予防=血管を若く保つ」事です。毎日のバランスの良い食生活、こまめな日常の運動習慣が、高血圧・糖尿病・肥満などを防いでくれます。
「 20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」(ココ・シャネル)という言葉が私は大好きです。顔を健康に置き換えて読んで下さい。年を経るほど、自らのそれまでの生活態度(習慣)が顔・健康状態に表れてきます。
元気な長寿が実現できるか否かは、あなた次第なのです。

しもと医院
下戸文夫


動脈硬化と酸化脂質 

 脳梗塞や心筋梗塞の原因は動脈硬化であり、動脈硬化の原因の一つに食事が関係していることは明らかです。脂質を多くとると動脈硬化になりやすいとされています。しかし肉食であり、野菜をあまりとらないイヌイットに心筋梗塞や脳梗塞の人が少ないのはなぜでしょう。彼らは、肉を生で食べています。脂質は熱を加えると酸化されて酸化脂質となります。この酸化脂質が動脈硬化を起こすとされています。もちろん体内においても酸化は起こりますが、食べる前から酸化された脂質を多くとればとるほど、動脈硬化は進行します。脂質を10 分以上加熱すると酸化されるといわれています。時間がたったものや、繰り返し加熱した場合も同様です。それなら調理の仕方で動脈硬化は軽減できるのではないでしょうか。冷えた唐揚げ弁当を電子レンジでチーン。少し考えた方がいいかも。

加藤医院
加藤 治人


『平均寿命』と『健康寿命』 

 日本は世界最高の長寿国です。「平均寿命」がおよそ男性80 歳、女性86 歳であることをご存知の方は多いでしょう。しかし、入院や介護を受けることなく日常生活を過ごすことができる期間を示す「健康寿命」がどれぐらいかご存知でしょうか。日本人の「健康寿命」はおよそ男性70 歳、女性73 歳です。このことが何を示すかと言うと、「平均寿命」と「健康寿命」との差、つまり『不健康な期間』が男性で10 年、女性で13 年もあるということです。年齢を重ね、脳卒中や心血管病、認知症、がん、骨折といった病気やけがにより、それまでのように日常生活を送れず、入院や介護を必要とする可能性のある期間が10 年以上続くことを意味します。糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病は『不健康な期間』を延ばす原因になります。日頃から適切な運動や食事を心がけ、「健康寿命」を伸ばしましょう。

江藤クリニック
江藤 智麿


明けましておめでとうございます

 謹んで新春のお慶び申し上げます。
 さて、コンピューター技術の進歩により自ら学習して 能力を高めていくAI(人口知能)の研究が世界中で盛 んに進められています。AI 機能をもったソフトが囲碁や 将棋の名人に勝利して話題になりました。すでに我々の 身近なものにもAI が応用されていて、スマートフォンの 音声認識システムやお掃除ロボットまた車の自動運転シ ステムなどがあります。医療分野ではAI を応用したロボ ットスーツを四肢に障害のある患者さんに用いてリハビ リを行い一定の成果を上げています。まだまだ本格的な 応用はこれからですが、膨大な医療データや健診データ をAI コンピュータに取り込んで病気の診断や予測予防 に活用することが考えられています。そして、より高い レベルで人間の感情を再現し、広い学習能力を持つAI が現在研究開発されています。将来アトム医師やウラン 看護師にお世話になる時代が来るかもしれません。

羽曳野市医師会
会長 調子 和則


『子供でも生活習慣病になる?!』

 生活習慣病とは食生活や運動習慣、喫煙、飲酒な どが原因となって生じる病気の総称で、高血圧症、高 脂血症、糖尿病などが含まれますが、実は子供たちの 間でも生活習慣病が増加していることはご存知でしょ うか? 子供の肥満の割合は年々増加しており、現在で は小学校から高校生までの10 人に4 人が生活習慣病 のリスクがあるといわれています。その原因としていつ でもお菓子が買えたり、夕食・就寝時間が遅いといっ た生活環境の変化、脂質の多い肉類の摂取量が増え たり、朝食をとらなくなるなど食生活の変化、ゲーム など室内で遊ぶ時間が増え、外遊びの機会が減ってい る運動習慣の変化などが考えられます。まわりの子供 たちで思い当たる部分があれば「早寝早起き」「朝ごは んを食べる」「適度な運動」などの生活習慣の改善や、 かかりつけ医への相談などもご検討いただければと思 います。

土屋医院
土屋 英人



予防接種を受けましょう

 感染症にかかると体の中で抗体が作られ、外から侵入する病原体を攻撃する仕組ができます。これを「免疫」といい、免疫の仕組みを利用したのが「ワクチン」です。
 ワクチン接種により、免疫(抵抗力)を作り、病気になりにくくします。まれに、熱や発疹などの副反応が見られますが、実際に感染するより症状が軽い事や、周りの人にうつすことがないという利点があります。
 予防接種には「個人を守る」と「社会を守る」の二つの役割があります。予防接種をうけると免疫が作られ、その人の感染症の発症または重症化を予防する事ができます。また、多くの人が予防接種を受けることで免疫を獲得すると、集団の中で感染患者が出ても流行を阻止する事ができる「集団免疫効果」が発揮され、ワクチンを打てない人を守る事にもつながります。

いしどレディースクリニック
石戸 昌子


概日リズム(サーカディアンリズム)と体内時計

 朝太陽の強い光で起きて、夜暗くなると寝る一日のリズムを概日リズムと言います。睡眠、体温、血圧、成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなどはこのリズムで変動します。脳の視床下部には時間の変化を測る神経細胞が存在し体内時計とも言われています。人の体内時計の一日リズムは25時間で、朝日の光で外界の24時間リズムに調整します。すなわち、目から入った朝日の光刺激(強さと波長)で視床下部の体内時計が作動し、睡眠を誘導するホルモン(メラトニン)の分泌を止めて睡眠を覚醒へと導き24時間リズムに調整するのです。
 更に朝食によるエネルギーで肝臓や各臓器に存在する末梢時計を働かせて、体温、血圧、副腎皮質ホルモンなどの調整も行います。
 朝日の光で起床して日没後に視床下部で作られるメラトニンの分泌に合わせて寝ると云う概日リズムに沿った生活が健康上大切です。

羽曳野市医師会員
藤野 久武


健康診断をうけましょう

 新年度が始まって何かと周囲の環境が変わったり、今まで通りの生活が続いたりと人それぞれいろんな生活環境がおありかと思いますが、生活環境にかかわらず習慣にしていただきたいことの1つに健康診断の受診があります。40歳以上の方ですとほとんどの方は何らかの公的補助がありますので、最低年1回は労働安全衛生法が定める健康診断だけでも受けるようにしたいものです。生活習慣病健診では、みなさまの命を縮めかねない高血圧症、糖尿病、高脂血症、腎臓病、肥満などの有無がわかります。さらに各種がん検診(肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、前立腺がんなど)も早期発見には有用と思われます。健診は「病気の芽」を早めに見つけて対処するために受けるので、自分で感じる体調の良し悪しに関わらず定期的に受けてこそ価値があります。雑草は小さい芽の時に抜いてしまいましょう。

土屋医院
土屋 英人


子育てとスマホ

 最近、待合で、スマホを使用しているお母さんの姿をよく見かけます。スマホが出来て、生活は非常に便利になりました。でも子育てにはどうでしょう。
 あなたはスマホをいじっている時、子どもに邪魔されると怒っていませんか。母乳を飲ませている時に、スマホをいじっていませんか。子どもと外出した際、移動中や食事中にスマホをよく使用していませんか。
 赤ちゃんは身近にいる人からコミュニケーションの手段を学びます。つまりお母さんから学ぶのです。スマホ依存に陥っている母親の子どもさんにサイレントベビー(無表情、喋らない、泣かない)が増えています。
 子どもの脳は3~4歳までに爆発的に発達し、五感が養われていきます。いろんな経験をさせてあげたい時期なのです。そんな時にテレビやビデオ、タブレットにベビーシッターをさせていいのでしょうか。
 子どもといる時は、スマホに触れることをすこし控えてみてはどうでしょう。

医療法人 加藤医院
加藤 治人


健康を考える

 本年5月に羽曳野市医師会長に就任いたしました調子です。よろしくお願いいたします。
 さて、みなさんは「健康の概念」にどのようなイメージを持っておられるでしょうか?戦後間もなくWHOが定義した健康とは、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあること。」(日本WHO協会訳)とあります。しかし、80歳以上が1,000万人を超えた超高齢化社会を迎えた今日、健康の概念も変わって来ているのではないでしょうか?そして、健康長寿を目指す健康のあり方は「病気や障害を持たない状態」から「より良い人生のあり方」を考えたものでないといけないと思います。今後の健康への取り組みもまた、病気の予防だけでなく、生活の質の向上に向けた年齢にあった食生活や運動習慣また、積極的な社会への参加がより一層重要になると思います。もう一度これからの自分自身の健康観について見つめ直しても良いかも知れません。

調子医院
調子 和則


胃腸にやさしい食事について

 気候や社会的環境、食生活の変化により現代人は何かと体内環境が乱れやすい状態におかれているように思います。日々の診療でも胃腸の不調を訴えて来院される方も目立ちます。そういう時の食養生というのは気になるところですが、今一つピンとこない方も多いのではないでしょうか。基本的には「刺激のない食事を心がける」「必要以上に胃酸を分泌させるような食材を選ばない」「温かいもの、柔らかくよく煮込んだものを取り入れる」といったことを意識して、食材や調理法を選択すればよいかと思われます。肉や揚げ物、炒め物、スナック菓子などの脂っこいもの、香辛料や唐辛子を使ったもの、脂質や糖質の多い甘いものなどは避けた方がいいでしょう。具体的には薄味のスープや味噌汁、お粥やうどん、湯豆腐といったものが挙げられます。飽食の時代と言われる昨今、時には胃腸を休ませてあげてはいかがでしょうか。

土屋医院
土屋 英人


日本の医療は世界一

 医療ミス、医療事故、患者のたらい回しなどの記事をよく見る一方、なぜか報道されないのですが、実は、日本の医療は世界最高の評価を受けています。平均寿命の長さ、妊産婦および乳児死亡率の低さなどが世界最高であるのに、それを達成するのにかけた医療費は先進国中最低であるからです。日本では国民皆保険制度のもと、健康保険証1枚を持って行けば、日本中どこの病院でも自由に受診でき、同じ料金で同じ医療を受けることができます。しかし、そんなことができる国は他にはありません。今、日本では医療は平等であり、医療を商売の道具にすることはできません。しかし、昨今その規制がゆるみ、油断していたら、そのうちアメリカのように、医療も各人の懐具合に応じた買い物になるかも知れません。 

かわばた医院
川幡 公子


ヘルペスと免疫力

 口の周りや顔にプツプツとした水ぶくれができることがありますね。かゆかったり、痛かったり。厄介なものです。また体や顔面に神経の走行に沿ってできるものは帯状疱疹(たいじょうほうしん)。いずれもヘルペスウイルス(HHV1,2,3)が原因です。さらに顔面神経麻痺の原因の一つとしてヘルペスの関与が知られています。
 ヘルペスは幼少時に水ぼうそうや口角炎などの形で既に侵入しており、神経節に潜んでいます。免疫力が低下すると暴れだし発症します。
 予防法は免疫を落とさないことです。免疫低下の原因は、残業による過労、勉強やゲーム、スマホによる睡眠不足、ダイエット、病中病後、怪我による体力低下、さらに手術後にも起きることがあるので、手術前には執刀医や麻酔科医がさりげなくチェックしています。
 さらに帯状疱疹(HHV3)は水ぼうそうワクチンで追加免疫できます。かかりつけの医師にご相談下さい。 

立山 博一


耳閉感(耳のつまった感じ)

 突発性難聴という病気をご存知の方も多いと思います。突然耳が聞こえなくなったり、耳鳴りがしたり、耳がつまった感じがする病気です。めまいを伴うことも有ります。この病気は、耳が聞こえにくくなるので、すぐ病院を受診される方が多いと思われます。今回は、この病気と似てはいますが聞こえにくさは軽度(難聴を訴えられない方もいます)ですが、耳のつまった感、自分の声がひびいて聞こえるという症状が前面にでる急性低音障害型感音難聴について少し書いてみたいと思います。文字通り急におこる病気ですが、難聴よりも耳閉感を訴えられる方が多いです。聴力検査をしてみると低音部に難聴が見られますが、この程度により難聴の訴えが違ってくるようです。ストレス、睡眠不足で憎悪したりメニエール病に移行したりする例も見られます。確実に有効性が証明された治療法はないのですが、効果のある治療法は種々ありますので、聞こえてはいるが耳閉感の有る方は、早めに医療機関を受診して下さい。

医療法人 原田耳鼻咽喉科
原田 博文


スギ花粉症の新しい治療法

 今年は暖冬の影響で例年より早くスギ花粉の飛散が始まりました。3月上旬はスギ花粉飛散のピークで、花粉症で悩んでいる方も多いと思います。アレルギー疾患治療の原則は、原因物質を避けることですが、空気中を飛散する花粉を避けるのはマスクぐらいしか方法はありません。従来の内服治療、点鼻薬や手術治療以外に舌下免疫療法と呼ばれる新しい方法が平成26年秋から保険適用になりました。これはスギの抗原エキスを舌の下にしばらく含んでおき、飲んでしまうという治療法です。従来から減感作治療と呼ばれ、スギ花粉のエキスを皮下注射することにより体をスギ花粉に過剰反応しないように慣らす方法があり、これをより安全に投与できるように改善したものです。アレルギーの原因物質を体内に入れるため、アナフィラキシーという過剰なアレルギー反応が起きる可能性があります。また花粉飛散中は開始できず、効果が出るのも2年ぐらいかかります。ただ根治が期待できる唯一の治療法ですので、検討されるのはいかがでしょうか。

しまだ耳鼻咽喉科
島田 健一


こむら返り

 一段と寒くなってきたこの頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。
 夜寝ている時などに急に足がつったようになることを経験する方が多いのではないでしょうか?特に腓腹筋というふくらはぎにおきることが多いですが、指、首、肩におきることもあります。筋肉の意識しない強直性の収縮であり、痛みを伴います。数秒から数分続くことがあり、激しい運動のあとは水泳後、睡眠中に見られることが多いです。睡眠中は激痛があり、早急に対応ができないので、筋肉痛や寝不足が残ることもあります。健常人でもおきることがありますが、いろいろなところに頻回におきる場合は、病的なものを考えます。血行が悪くなり生じることが多いので、温めたり、マッサージが効果的であり、漢方薬がよく効くことがあります。また、運動後のストレッチ体操、塩分補給、クエン酸も効果があるといわれていますので、予防に努めましょう。

ますだ整形外科クリニック
増田 博


飛蚊症(ひぶんしょう)

 明るいところや白い壁、青空を見つめたとき、目の前に虫や糸くずが飛んでいるように見えた経験は有りませんか?これは飛蚊症と呼ばれ、目の前を動いて、まばたきしても目をこすっても消えませんが、暗い場所では気にならなくなります。この飛蚊症は生まれつきの場合や、近視や年配の方に多い眼の中心部分の変化によって起こる眼の症状で多くの場合は治療の必要はなく、多少はうっとうしいと感じますが、慣れれば特に問題はありません。
 ところが、同じ症状でも網膜剥離、眼底出血やぶどう膜炎などの病気が隠れている事があり、この時は眼科での早期診断・治療が必要となります。時に思いがけない病気になっていることがあります。早期発見、治療が大切なので、症状を感じたら早めに眼科で診察を受けることをお勧めします。

おおつか眼科
大塚 尚


アスクレピオスの杖

 蛇と言えばどうしてもマイナスイメージが強く老若男女を問わず、嫌われ者の代表です。
 実際に国内では年間3000人以上の人がマムシ・ハブなどに咬まれ数名の人が亡くなっておられます。
 ところが一方で、蛇は医学の象徴として崇められ、ギリシャ神話の医神アスクレピオスは蛇の巻き付いた杖を携えています。脱皮を繰り返す蛇は死と再生の象徴とみなされています。
 現在でもWHO(世界保健機構)、救急車の紋章などに取り入れられており、映画でもよく目にする機会があると思います。
 ところで、2匹の蛇のからみついた物はヘルメスの杖と呼ばれ、これは商業の象徴でありますが、欧米でも結構混同されて使われているようで、日本でも防衛医科大学校の校章には鳩と桜と2匹の蛇があしらわれています。「平和」「国家」「医療」といったところでしょうか?

岩本整形外科クリニック
岩本 弘


尿潜血について

 尿は両側の腎臓から尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って排泄されます。
尿潜血陽性とは尿に血液が混じっていることを意味しています。尿の通り道に出血しているところはないかのスクリーニング検査となりますが、原因がわからないものが意外と多く、長年尿潜血陽性が続く方も健診では多くみられます。
 ただし、腎炎に伴うもの(内科的疾患)、尿路結石、尿路感染症などの良性疾患、膀胱や尿路系の腫瘍などで認められることもありますので、陽性の場合には精密検査をお受けいただく必要があります。特に高齢者、肉眼的に血尿がでたことがある、喫煙歴があるなど尿路系の腫瘍になるリスクの高い方は、エコー検査や尿の細胞診検査などをお受けいただくことが望ましいでしょう。

倉岡医院
倉岡 哲郎


関節リウマチ

 関節リウマチは、関節内の滑膜が病的な増殖をすることによって、慢性の炎症を起こす病気です。免疫の異常により起こると考えられています。進行すると関節が破壊され様々な程度の機能障害を引き起こします。関節の症状に加えて貧血や微熱、倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。最初は両方の手や足の指の関節が対照的に腫れて、朝のこわばりが出現します。また、膝関節や股関節など大きな関節にも症状が出現することがあり関節液が溜まって動き難くなり、痛みのために移動や日常生活動作に障害が生じることもあります。どの年代でもおこりますが、特に30~50代の女性に多く発症します。軽症の人もいれば重症の人もいて症状も多彩です。以前はリウマチによる痛みを和らげる治療しかできませんでしたが、最近は治療薬の進歩により病気の進行を止め、症状がなくなる状態(寛解)を目指すことが可能となりました。そして、早朝の診断と治療が重要ですが早期診断が難しいケースもあります。疑いの症状がある方は先ずかかりつけ医に相談してください。

医療法人和成会 調子医院
調子 和則


果物好きの花粉症の方へ

 今年もスギ花粉症が猛威を振るっています。スギの後にはヒノキ、イネ科花粉症も控えています。花粉症は文字通り花粉を吸入して起こるアレルギーですが、同時に食物によるアレルギーの原因になることはあまり知られていません。メロン、スイカなどのウリ科、りんご、桃などバラ科のおいしい果物や野菜、ナッツなどを食べると、口の中がかゆくなったり、のどが腫れたりする口腔アレルギーの原因になることがあるのです。
 今まで好物だった果物で、口の中の違和感を感じるようになったら要注意です。特に北海道に多い、シラカバ花粉症との関連が知られていますが、大阪ではイネ科花粉症の方が発症しやすいのが特徴です。対策は原因になる食物を避けることが第一ですが、加熱調理することにより摂取できる時もあります。果物を食べて口がかゆくなった事のある花粉症の方はかかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

しまだ耳鼻咽喉科
島田 健一


ヘリコバクター・ピロリと胃の病気について

 ヘリコバクター・ピロリってお聞きになったことはありますか。ピロリ菌とも言われ、胃の中に住んでいる細菌です。60歳代の方は約80%、40歳代では30~40%と、年齢が高くなるほど感染率は高くなります。しかしピロリ菌に感染しているからといって、必ずしも病気になるわけではありません。感染していても全く症状がない人もたくさんいます。以前はピロリ菌が胃十二指腸潰瘍の発症に大きくかかわっていると言われていましたが、最近では、ピロリ菌がずっと胃にいることで慢性的な胃炎が持続し、胃の粘膜に変化(萎縮など)がおこることがわかりました。その結果、胃の痛みやむかつき、もたれなどの症状が続くことがあります。またこの慢性炎症の持続が胃がんの発症のリスクを高めているというデータもあります。いちど胃の検査をうけてみませんか。

ふじもと医院
藤本 雅史


「まさか!私ががんになるなんて…」

 婦人科がんのオンコロジスト(腫瘍医)をめざし、大学病院でがん治療一筋に約10年を過ごしました。診療所や病院から紹介され、大学病院に入院してこられた患者さんの9割以上の方が言われます。「まさか、私ががんになるなんて…」
 医療が進歩した現在、がんは不治の病(やまい)ではありません。早期に発見され適切な治療を受ければ治る病気です。ただ残念なことに、一方でがんによって命を落とされる方がいるのも事実です。現在の医療では、一部のがんを除いて予防できるがんは多くありません。
 大切なのは、がんの初期症状を放置しないで受診し、検査を受けて早期に治療を受けることです。「生理がいつもより長く2週間になる…」「今月は生理が2回来た…」「閉経したかと思っていたら、1年ぶりに出血があった…」「ここ数カ月おりものが多い…」「最近急におなかが出てきた、太ったのかしら…」このような症状があれば婦人科で相談しましょう。
 「痛くないからいいか…」「いい年だからもうがんにはならないか…」「20代だからまだがんにはならないか…」「閉経したから太ってもしょうがない…」「これまで風邪すらひいたことがない…」「忙しいからもう少し様子をみてみよう…」このような安易な考えは起こさないようにしましょう。
 最後に一番大事なことをひとつ。症状がないうちにがん検診をうけましょう!
 がんで苦しむ人が一人でも減ることを切に願います。

江藤クリニック
江藤 智麿


物忘れにも色々ある?

 「最近、物の名前が出てこなくなった。」「物をどこにしまったのか忘れて探し物をよくする。」などといったことはありませんか?あるいはご家族の中でそのような方はいらっしゃいませんか?これらは認知症の初期症状である可能性があります。しかし物忘れと言っても加齢による生理的な(正常の)物忘れもあります。認知症の物忘れと生理的な物忘れには特徴があり、例えば生理的な物忘れは食事で何を食べたか一部のみを思い出せないことがありますが、認知症の物忘れは食事をしたこと自体を忘れてしまいます。つまり生理的な物忘れは体験の一部を、認知症の物忘れは体験の全体を忘れてしまうのです。
 認知症であっても早期発見し適切な治療を行えば、その進行を遅らせることが出来ます。気になる方は気軽な気持ちで認知症専門外来を受診してみてください。

丹比荘病院
池谷 俊哉


食事と長寿の関係

 私たちは、食物と酸素からエネルギーを作って生きています。でも残念ながらエネルギー生産の過程において廃棄物(活性酸素など)を必ず伴ってしまいます。発電所をイメージしてみましょう。煙突からは有害なガスが出ます、また有害な廃液もできあがってしまいます。これらの処理には大変苦労していますね。私たち人間の体もいろんな仕組みで廃棄物を処理していますが、食物を毎日多量に摂取し続けると、処理しきれなくなった老廃物が体を少しずつ傷つけてきます。これががんや老化現象の原因のひとつと言われています。
 健康で長生きするために、あるいは何か病気があっても元気にくらすためには、自分自身が現場監督になり、エネルギー工場を効率よくきれいに運転させることが大切です。

ぶどうの家診療所
大畑 和弘


ロコモティブシンドローム

 筋肉、骨、関節、軟骨などの運動器の障害のために移動能力の低下をきたして、要介護になっていたり、要介護になる危険の高い状態をロコモティブシンドロームといいます。ところで、皆さんは、健康寿命という言葉をご存知でしょうか?健康寿命とは日常的に介護を要せずに自立した生活ができる生存期間のことです。
そして平均寿命と健康寿命の差が寝たきりなどで要介護の必要な期間であり、男性では約9年、女性では約12年となります。ロコモはメタボや認知症と並び、健康寿命を縮めている要因の一つになります。いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが必要となります。

ますだ整形外科クリニック
増田 博

子どもの細菌性髄膜炎と予防接種(ヒブと肺炎球菌ワクチンは何のため?)
 日本では、毎年、約1000人の子どもさんが細菌性髄膜炎にかかっています(ワクチン導入前)。その子どもの細菌性髄膜炎の原因の8割がヒブと肺炎球菌です。子どもの細菌性髄膜炎は診断が難しく、治療は困難で重症化します。ヒブと肺炎球菌で起こる髄膜炎は、約3割で重い後遺症を残し、数%の子どもさんが亡くなる恐い病気です。
 4歳までの子どもさんがかかりやすく、中でも免疫力が未熟な6カ月~1歳未満にピークがあります(1歳未満で約半数)。
 この病気はそれぞれのワクチン接種で予防することができます。
 生後2カ月になったら、出来るだけ早い時期に予防接種を受けましょう。
加藤医院
加藤 治人

耳はストレスのバロメーター
 夏はプールの水が耳に入り外耳炎や中耳炎を発症し、耳がつまった感じになることがよくあります。耳掃除で耳垢を奥に押し込んでしまった時や風邪で鼻づまりが強い時に、鼻を強くかんだり鼻をすすったりして発症する耳管狭窄症もつまった感じを生じる代表的な例です。
 しかし、耳のつまり感「耳閉感」には他の病気が隠されていることがあり注意が必要です。
 最近、耳鼻科医が注目している疾患に低音障害型急性感音性難聴があります。聞こえの神経が障害され、文字通り低音が聞こえにくくなりますが、聴力低下の程度は少なく、「耳閉感」という不快感が主な症状です。介護疲れや仕事のストレス、育児の悩みなどある方に発症しやすいので、別名ストレス型難聴とも呼ばれます。女性に多く、繰り返し発症することが特徴です。
 同様にストレスがきっかけで発症し、めまいを主な症状とするメニエール病に移行することもあります。ストレスの絶えることのない日々ですが、耳の健康に気を付けて、暑い夏を乗り切っていただきたいと思います。
しまだ耳鼻咽喉科
島田 健一

腰には、常に多くのストレスが
 日常生活やスポーツ活動、あらゆる状況で腰には常にストレスがかかっています。
 立位で腰にかかるストレスを基準とすると、前かがみの際、腰部には、約1.5倍、デスクワークなど座位による作業でも、意外にも約2倍近くストレスがかかります。
 更に前傾姿勢のまま重量物を持ち上げる場合には4倍近くかかるといわれます。脊柱をしっかりと支えるには腹筋、背筋以外に、腹圧という体の内部から脊柱を支える要素も大切です。
 ボールに空気がいっぱい入って硬くなった状態を考えて下さい。腹圧が上がると脊柱が正常な状態に保たれます。
 具体的には、コルセットや腰椎ベルトを使用すると、腹圧が高まり、脊柱や椎間板にかかる負担が軽くなり、症状が軽減します。
 重量挙げの選手がベルトを使用しているのも同じ理由からです。
岩本整形外科クリニック
岩本 弘

老化を防ごう
 見た目が若いと、体内も若く健康であるという調査結果があります。健康状態が、皮膚、筋肉、骨、内臓などを通して、姿勢や表情に反映されるからでしょう。だれもが、いつまでも若く、老いたくないと願っていますが、老化は必ずやってきます。体の老化はなぜ起こるのでしょうか?諸説ありますが、体の酸化(口から摂取したり、体内から発生する活性酸素で体がサビる)、体の糖化(過食などによる多量の糖分で体がベタベタして、コゲる)などによって、体の代謝機能が低下する事が原因と考えられています。最近の研究で、老化の予防として、食事と運動の重要性が改めて、指摘されています。適切なカロリーのバランスの良い食事と、日常生活の軽い運動は、メタボ予防などと共に健康的な老化予防に欠かせないものです。
しもと医院
下戸 文夫

糖尿病の検査
 今回は、健康診断などで行われる糖尿病に関係する検査について考えてみたいと思います。血液中のブドウ糖の濃度を示す血糖検査は最も基本的な検査です。空腹時か、食後であればどの位時間が経過しているかが重要です。
 腎臓には常に心臓から送り出された血液の約25%が流れ、ろ過・再吸収(ろ過されたものが血管にもどる)等を経て尿がつくられ、ぼうこうにたまります。尿糖検査はぼうこうにたまった時間の分が反映されます。
 ところで、赤血球がつくられると血管内をめぐり、血糖値が高いほど赤血球中のヘモグロビンはブドウ糖と多く結び付きます。この結合がヘモグロビンA1c(HbA1c)で、過去1~2ヶ月間の血糖の平均値を反映するとされています。
寺田内科
寺田 道男

マイコプラズマ肺炎
 長びく咳や激しい咳があると、結核、喘息以外にマイコプラズマ肺炎があります。マイコプラズマは幼児期より学童、青年期にかけて感染しやすく、症状は乾いた咳から始り次第に激しくなります。発熱を伴うことがありますが全身状態は比較的良好です。平成23年7~8月頃より全国的にマイコプラズマ肺炎にかかる人が増加しています。今迄はマイコヲイド系の薬がよく効いたのですが、最近約80%の人に効かなくなり、現在はミノマイシン、オゼックスなどの薬が使われています。
志野小児クリニック
志野 和子

腹八分目の効用
 腹八部目に医者いらず・・・日本では昔から、そういわれてきました。その後さまざまな研究から、一定のカロリー制限により細胞の老化を遅らせることができることが確認されています。寿命や老化に関連する種々の遺伝子やその関連物質がカロリー制限により機能を高めるのです。実際にカロリー制限について考えてみますと、脂質は炭水化物やたんぱく質とくらべ1gあたりのカロリーが2倍以上になるため脂質の摂取量をいかに抑えるかがカロリー制限の大きなポイントとなります。そのためには、肉類を食べる時は脂身を減らす、揚げ物類などは続けて食べないなどの工夫が効果的です。食事はゆっくりよくかんで、野菜をしっかり食べることも意識しましょう。
土屋医院
土屋 英人

正常眼圧緑内障
 緑内障というと眼圧が上がって起きるものと思っておられる方は多いのでないでしょうか。眼圧の基準値は20ですが、それ以下であれば大丈夫と考えられている方も多いと思います。ところが、日本で行った疫学調査の結果、眼圧が基準値以下で起きる緑内障の患者の割合が非常に高いことがわかりました。日本人の40歳以上の10人に1人が緑内障と言われています。緑内障の初期には症状がなく、視野欠損などの症状を自覚できることはありません。早期発見、早期治療を行えば視野障害の進行を抑えることは可能ですので、眼圧検査や視野検査を積極的に受診されることをお勧めします。
かわむら眼科
川村 俊彦

自律神経失調症
 私たちの体は、主に活動時に活発になる交換神経と休息時に活発になる副交感神経のバランスによって維持されています。このバランスが崩れると、CTや血液検査などの体の検査では異常がないのに疲れやすい、食欲の低下、動悸などの身体症状が出現します。このような状態を自律神経失調症というのですが、どうして自律神経のバランスが崩れるのでしょうか。その原因として、ストレスやうつ病などの心の病や更年期障害のようなホルモンの異常などが考えられますが、原因不明のことも多いようです。あくまでも自律神経失調症とは症状であって仮の病名でしかありません。原因が分からず、診断に困った時につける便利な病名でしかないのです。大切なのは症状を引きおこしている原因を発見し、治療するということです。
りんクリニック
林 成賢

ロコモティブシンドロームとは?
 要介護状態になる原因には、骨折や関節脊椎疾患の占める割合は24%にもなります。ロコモティブシンドローム(ロコモ)とはこれらの運動器の障害のために移動能力の低下をきたし、要介護状態や要介護になる危険の高い状態のことを言います。ロコモを簡単にチェックできる7つの項目を紹介します。
 1. 片足立ちで靴下がはけない
 2. 家の中でつまずいたり滑ったりする
 3. 階段を昇るのに手すりが必要である
 4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
 5. 15分くらい続けて歩けない
 6. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
 7. 家のやや重い仕事が困難である
以上の7つの項目の内一つでも当てはまるものがあれば、ロコモの可能性があります。
調子医院
調子 和則

寒さと関節痛
 寒い季節になると、温暖な季節に比べて関節の痛みを訴える人が多くなります。中でも腰痛や膝に慢性の痛みがある変形性膝関節症の症状が悪化する人が増えます。人体には、気温や気圧の低下が痛覚神経を活発化させ、痛みを強く感じさせるしくみがあることが分かってきています。痛みを予防するためには保温と関節への負担軽減が重要です。保温のための工夫としては、動きやすく保温性の高い衣類や、生活習慣に合うサポーターの着用も効果的です。入浴の際には十分に温めて入浴後に冷やさないように気をつけることも大切です。正座を避け、椅子を使用するなど、日常生活の中で膝や腰の関節への負担を減らすように心がけてください。
医療法人 松谷整形外科クリニック
松谷 常弘

2012年 新年のご挨拶
 市民の皆様あけましておめでとうございます。つつがなく新年をお迎えのことと存じます。さて、昨年は東日本大震災という未曾有の大災害が日本を襲い、その後の大津波、原発事故とかつて経験したことのない出来事が日本に起きました。映像だけではわからない、現場にいないとわからないこともたくさんあったことと思います。被災地の皆様方にまだまだご苦労があることを考えると、呑気に新年の挨拶をしている場合ではないのですが、一刻も早く被災地の復興が進むことを期待しています。
 さて、今年度より羽曳野市では、40歳以上の市民の方を対象にした新しい市民健診が始まる予定です。また、がん検診や小児を始めとしたワクチン接種事業の充実にも市と協力して取り組んでいきます。
 これからも羽曳野市医師会は歯科医師会、薬剤師会とともに、市民の皆様の健康を守るために日々努力していきたいと考えています。
羽曳野市医師会 会長
増田 博

膝の水を抜くとクセになる?
 日常の診療の際にも、頻繁に耳にする言葉です。「膝の水」つまり関節液は、関節の滑りを良くすると共に関節軟骨に栄養を供給する大切な役目を持っています。やや粘調な液体で、正常では軟骨表面を潤す程度のわずかな量が存在します。関節内に炎症が生じると過剰に産出されその結果、関節水腫という形になります。これが一般にいわれる「水がたまる」状態です。これは、鼻炎の際の鼻水に似かよっています。鼻を繰り返しかんでも鼻水が続くように、炎症が続く限り水はたまります。水を抜く(関節穿刺)ことが直接的な原因で水がたまるわけではありません。関節穿刺を行なうことによって水腫に伴う痛みや、関節の可動域を改善させるだけでなく、更には関節液の性状を検査することでその原因が明らかになる事もあります。
岩本整形外科クリニック
岩本 弘

「インフルエンザ」病名の由来
 「影響」を意味するイタリア語「influence」が病名の由来とされています。まだこの病気の原因がわからなかった16世紀のイタリアで、冬に流行し春に終息する周期性から流行を星や寒気の影響によるものと考え「influence」にちなんで「influenza」と占星術師などが呼んだのが始まりとされています。この言葉が18世紀に
英国に持ち込まれ、その後世界へ広まりました。ちなみに、この4月より肺炎球菌とともにワクチンの助成制度
が始まったインフルエンザb型桿菌(ヒブ)ですが、インフルエンザウイルスが発見される以前の19世紀に、イン
フルエンザが大流行した際にこの菌が発見されたため、 インフルエンザの病原体と間違えられインフルエンザ菌
と名付けられました。また型の記載はウイルスは大文字でB、菌は小文字でbと記載します。
医療法人 田中小児科
田中 太郎

放射線被ばくについて
 放射線とは目に見えない高速で飛ぶ粒子や電磁波のことで、私たちは、宇宙や大地から自然放射線として、
年間2.4mSvの被ばくを受けています。医療機関での診断用放射線は、一回の低線量被ばく(最大10mSv)なら発癌の可能性はなく、体内蓄積もないので安心です。福島原発事故の場合は、呼吸や飲食で取り込まれた放射性物質から放出されるα線、β線による内部被ばくです。長時間体内に蓄積されるため、被ばく量が増大し、癌発生リスクも増えるのです。ただし放射線に対する過剰な不安からリンパ球が減少し、癌に対する免疫力が低下することもあるので、心配のしすぎは禁物です。
<参考>
α線: ウラン238(半減期45 億年)やプルトニウム239(半減期25,000 年)の原子核が放出するヘリウムの原子核のこと。
β線: セシウム137(半減期30 年)、ヨウ素131(半減期8 日)、ストロンチウム90(半減期29 年)が高速で放出した電子のこと。ヨウ素131 は甲状腺癌、ストロンチウム90 は白血病、骨悪性腫瘍の原因になる。
藤野放射線科(内科・胃腸科)
藤野 久武

喘息死ゼロ作戦
 今世紀に入ってから喘息が原因で亡くなるいわゆる「喘息死」の数は年々減少傾向にあります。この最大の理由は、吸入ステロイドという画期的な治療薬が登場し、これを用いた吸入療法がかなり普及してきたことだと考えられています。しかしまだまだ油断はできないのです。減少したとはいえ、毎年2,000人あまりの喘息死が残っていますし、スウェーデンなどの喘息先進国に比較するとまだ日本の喘息死は多いというのが現状だからです。
そこで厚生労働省は2006年から適切な管理と治療を行う事によって、喘息死は防止できることを前提に、「喘息死ゼロ作成」を推進しています。これは地域の病院とかかりつけ医、薬局が連携して喘息の適切な治療法を普及させ、患者さんにも喘息治療を上手に自己管理する方法を十分理解してもらったうえで、万一の喘息発作にも適切に対応できるような体制を整えようと言う試みです。羽曳野市でも大阪府立呼吸器アレルギーセンターを中心に、喘息の連携の会などを通じて、よりいっそうの喘息治療の向上と喘息死を防ぐ取り組みが行われています。
山本内科クリニック
山本 美次

飛蚊症と網膜剥離
 目の中で黒いものがちらちら見えることを飛蚊症といいますが、「年のせいだから仕方ない・・・」と放っていないでしょうか?
確かに、飛蚊症は、目の中の硝子体というところの濁りが原因で、心配のないことがほとんどです。ただ、時には、網膜剥離の前兆であることがあります。網膜に、裂け目が出来るときに、硝子体に変化がおこり、それを飛蚊症として自覚するのです。その裂け目に、液状になった硝子体が入りこんで網膜が剥がれ、視野が欠けたり視力が低下したりします。これが網膜剥離です。ごく初期の網膜剥離なら外来でのレーザー治療で、剥離をくい止めることが可能です。たとえ手術になっても早期治療すると後遺症なく治すことができます。黒いものに気づいたら、早急に眼科を受信して網膜剥離が起きていないかを確認してください。
きしもと眼科
岸本 精一

 
羽曳野市医師会
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大阪府羽曳野市誉田4-2-3 羽曳野市立保健センター内
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